Strategy Report - June.2010 - No1
INTRODUCTION
国家の粉飾
ユーロ安から、世界的な株安が進んでいる。
財政赤字を抱えたギリシャの問題は、ユーロ圏16ヵ国、国際通貨基金(IMF)が支援の具体策を示した事で終息するかに思われた。がしかし、ギリシャ国債の利回りは上昇…
ギリシャの財政赤字の問題は、根が深い。税集の仕組みや、賄賂が横行する公務員のモラル等、財政赤字を生み出す国家、国政規模の問題。一時的な資金対策では解決されない事を世界中が知ってしまった。
それにしても、ユーロの下落は、あまりにも強烈である。あれほど強かったユーロ。このギリシャ問題はそれほどの問題なのだろうか。
ユーロは16ヵ国の連結会社と見る事が出来る。
この連結会社に加盟するには、それなりの基準をもうけていた。ところがギリシャは財政赤字をGDP比4%程度としていたのに、実際は12.7%だった。
「国が粉飾決算していた。」企業と違い国家は監査できない。世界の投資家の不安は、他の加盟国にもおよぶ。実際ギリシャのGDPは33兆円程度。ユーロ全体から見れば小さな事。
しかし今、懸念されるのは「PIGS」と呼ばれるポルトガル、イタリア、(ギリシャ)、スペイン。なかでもスペインはGDP150兆円の規模があり、主要国の中では未だGDPがマイナス、リセッションから抜け出ておらず、失業率は19%を超える。同国の国債を独仏の金融機関が大量に保有し、これがデフォルトになれば、ギリシャどころの騒ぎではない。
ユーロの問題は各国の国家的経済の問題であり、又ユーロの信用問題、そして何より、短期的解決が極めて難しい問題。
まだ現在は日本に与える影響は小さいとするが、円高を始め、日本も相当の覚悟が必要と考える。
TOPIX
マネタリティー バリュー
デフレーションとは物価が持続的に下落していく経済現象を指す。物価の下落は同時に「お金の価値」の上昇を意味する。同じ金額のお金でより多くの物、サービスを買えるようになるからである。
上記がデフレーションの概念の一般的解説となるが、ここで「お金の価値」という考え方が理解しづらい。そこで「お金の価値」を表す指数を考えてみる。デフレ対策には、金利を下げ量的緩和を促す金融政策が第一となるのだが、実際には全く効果を表さず、かえって「お金の価値」を上昇させてしまった。金利を下げると名目金利は確かに低下するのだが実質金利を上昇させ又、一定の「お金の価値」がインフレしないともいえる。これは金融対策の根本原理の否定のようだが、金利低下は「お金の価値」の上昇を意味する。「お金の価値」はもう一つの要因でも変動する。日本のような島国では個人的実感は難しいのだが為替変動。円高と円安では海外で手に入る、物やサービスが違ってくる。そこで、「お金の価値」Monetary Value(MV)=1/長期国債利回り×1/(円/ドル)為替と表す。下記にMVと公示価格・TOPIXの合成グラフを作成してみた。一般的には株式・不動産などの資産価格はデフレの概念に含まないが、より鮮明に「お金の価値」の変動が理解されると比べてみた。1990年MVは0.1と最低値を付けるが、その1年前の89年TOPIXが最高値、そして1年後の91年公示価格も最高値を指す。2004年MVは1.0と最高値を付け、同じ年、TOPIXは最低値。2007年MVは0.5まで低下すると、TOPIXは同じ年89年以降の高値を取る。又2007年からは不動産のミニバブルも始まり2008年まで上昇するも、MVの又上昇により下落に転ずる。MVとTOPIX、不動産価格がリンクしている事がおわかりいただけよう。金利を上げるか、円安になるか、これしかデフレ脱却、景気回復はないように思える。
